感想
読んだ。 「佐伯沙弥香について」と題するスピンオフにふさわしく、キャラクター形成の細部が丁寧な作品だった。 感想:佐伯沙弥香は大学選びでも人間関係を理由にして遠くに行く選択をしてほしい。たぶんそうはならないけど……。 ネタバレあり。 やがて君に…
見ました(遅い)。 3話は原作でいう4話5話の内容ですが、原作5話の冒頭をOP前に持ってきたり、原作4話のラストをエンディングに持ってきたりで、「アニメ3話」としての再構成が丁寧ですね。 日記:アニメ「やがて君になる」1話 - しゆろぐ 日記:アニメ「やが…
注意:「やがて君になる」4巻までのネタバレあり 主人公小糸侑と、アニメ4話でちょうど出番のくる槙聖司くんについての、簡単な覚え書きです。特別がわからない主人公・小糸侑と同じ位置にいるようで少し違う槙聖司について、彼にとっての「特別」をすこしま…
しばらく前からずーっと読んでいたけど、1部が終わって2部に入ったあたりからは一気に読んだ。 舞台は古式ゆかしき謎の一族がでてくる謎の屋敷。探偵役は母親から探偵業を受け継いだ隻眼の少女、御陵みかげ。初めて事件に関わることとなるデビュー戦。 ワト…
見ました。 各話感想リスト 日記:アニメ「やがて君になる」1話 - しゆろぐ 日記:アニメ「やがて君になる」2話 - しゆろぐ 佐伯沙弥香からの「ずるい」に始まり、小糸侑の刺すような「ずるい」が続き、再び小糸侑の調子を狂わされたような「ずるい」で終わ…
恋愛をするものがマイノリティとなり、現代的な意味での交際を”飛ばした”、純粋なパートナーシップとしての「飛ばし結婚」が一般的になった社会が舞台。その象徴である「非・恋愛コミューン」をテロリストが襲撃、多数の被害者が出る。 青枝聖は記者として、…
見ましたか? 俺は見ました。 あなたも見ましょう。 あらすじとかは書かずに、原作との差異やアニメを見て思ったことについてざっと書いていきます。 各話感想リスト 日記:アニメ「やがて君になる」1話 - しゆろぐ 日記:アニメ「やがて君になる」2話 - し…
平成のエラリー・クイーン青崎有吾のデビュー作「体育館の殺人」から連なる裏染天馬シリーズ4作目の感想です。 「体育館の殺人」は「今ミステリが読みたいならこれを読め」と言っても良いほど、エンタメ・ミステリとしての完成度がすこぶる高い作品なのです…
3月~5月にかけてミステリ小説をちょっと読んでいたが、途中で感想を書く作業が追い付かなくなっていったので、まとめて雑に感想を書いてみる。 ネタバレはないつもり。 ちなみに今はかなりミステリに飽き気味です。ただ「エラリー・クイーンの冒険」の新訳…
しばらく忙しい期間が続いたので、寝しなに自然系ドキュメンタリー映画を見ていた。 WATARIDORIは鳥の渡りの様子を映像に収めた作品。 フランスの作品。邦題はちょっとどうなのかと思う。 多種多様な鳥の旅が楽しめる。あんまり飛んでいる姿を見ないペリカン…
この作品を語る上で、最初に書いておかなくてはならないことが、この作品は家族の絆を全面的に肯定する作品ではない、ということです。 「盗んだのは、絆でした」というキャッチコピーなんてもってのほかだと思います。製作陣がつけたのかもしれませんが、難…
パルム・ドール受賞で話題沸騰の是枝監督予習編としてみました。 過去にみた是枝監督の作品としては、海街diaryがあります。 日記:「海街diary」 - しゆろぐ 簡潔に言うと、里帰りや親戚・もしくは家族という共同体の嫌なところ、きついところみたいなもの…
以前日記に書いたグランド・ブダペスト・ホテルと同じ監督が描く、少年少女の逃避行もの。 日記:「グランド・ブダペスト・ホテル」 - しゆろぐ グランド・ブダペスト・ホテルの感想でも書いた通り、飛び出す絵本のような独特な映像が特徴的。そういう映像を…
体育館の殺人をかいつまんで説明するなら、「わかりやすく、スリリングで、何より由緒正しき本格推理小説」みたいな感じになります。 だから、「読んでてつらくなくて本格ミステリの面白みがわかる作品ある?」みたいなことを聞かれたら、間違いなく「体育館…
1.注意事項 この記事は、全面的に映画「リズと青い鳥」のネタバレを含みます。 また2018年アニメ化予定の漫画「やがて君になる」の設定についてもがっつり語っていますが、これについては未読の方にも配慮しております。 2004年の映画「花とアリス」、2004…
たくさんの人がさまざまな感想を書いているだろうから、映画に詳しくもない自分が改めて語る必要はない気もするのですが、しかしやっぱり感動したものについてはその感動を書き記したいものです。 もし映画を知らない人がいて、「映画とは何か。映画のどこが…
この作品で提示される謎はずばり「雪の密室」 現場に残っているのは被害者だけで、被害者は他殺体として発見される。たった一筋の足跡が幻想的に、視覚的に謎をはっきりと提示するから、雪密室の作品はきれいだ。しかしこの作品は雪の密室を扱うくせに、「あ…
エラリー・クイーン最大の傑作が何か、とミステリファンに問うたら、きっと意見が分かれるでしょう。国名シリーズのどれか? 悲劇四部作? ライツヴィルもの? しかし、エラリー・クイーンが最も傑作を生みだした年というのなら、間違いなく1932年です。この…
国名シリーズを執筆するかたわら、「バーナビー・ロス」という新たな筆名を用いてエラリー・クイーンが出版した悲劇四部作の一作目。 そもそもエラリー・クイーンが二人組の覆面作家だったのをいいことに、一方がバーナビー・ロス役、一方がエラリー・クイー…
な、長かった。 初期エラリー・クイーンの傑作群、国名シリーズの5作目です。私はまだ「フランス白粉」とこれしか読んでいないので2番目に読んだことになります。 日記:「フランス白粉の秘密」 - しゆろぐ 国名シリーズの中では人気の作品だったけど、いか…
昭和十年前後の令嬢と日常に潜むミステリを描いた短編集の第二巻と最終巻の感想です。 以前感想を書いた「街の灯」の続編ですね。 日記:「街の灯」 - しゆろぐ この作品における「日常の謎」は日常を描くためにあるのだな、というのが最後まで読んだ感想で…
『太宰治の辞書』の解説で米澤穂信が語っていた内容によると、彼はこの作品に影響を受けてミステリ作家になることを決めたらしい。どういうジャンルで小説か迷っていたとき、この作品を読んでミステリが描けるものの広さというものを感じたとかなんとか。 日…
実は(?)、売れているものについて否定的なことを言いがちな人間です。 そんなわけでなんとなく人間と話していたら、読んでもいないビブリア古書堂の事件手帳シリーズについて否定的なことを言ってしまった。これはいけないと思い、反省の意味も込めて読んで…
以前、とりあげた「メルカトルかく語りき」に登場する銘探偵メルカトル鮎とワトスン役の美袋にまつわる短編集です。 日記:「メルカトルかく語りき」「貴族探偵」(ネタバレなし) - しゆろぐ 「メルカトルかく語りき」より以前に発表された作品だが、メルカト…
勝てばホームズ。負ければワトソン。 こんな文章の帯に惹かれていつか読もう、と思っていたのですが、気が付けば手元にありました。麻耶雄嵩の新作。二人の女子高生探偵による推理ショー。松尾芭蕉の俳句に見立てた殺人劇。17年前に亡くなったという、お堀の…
「何によらず、物事というのは汽車の窓から眺める風景のように、我々の前を過ぎて行く。その中から、≪おや、あれは何だろう≫≪どうして。あんなことになるのだろう≫という疑問を見つけるのは、実は、想像以上に難しいことなのだよ」(p.208) 「街の灯」は昭和…
この小説は、北村薫のデビュー作である日常の謎を扱ったミステリ「円紫さんと私」シリーズの17年ぶり(になるんだろうか)の新作である。と、私が大仰に語るのはよくない。何故なら私は「円紫さんと私」シリーズを読み通していないのだ。シリーズを一切読ま…
この作品がテーマにするのは「日常の謎」。 サラリーマンをやめて私立探偵になった仁木順平と、彼のもとを訪れて助手として働くことにした探偵志望の市村安梨沙。この設定だけでも惹かれるものがあります。 二人の事務所に舞い込んでくる謎は、仁木が憧れて…
前回とりあげた貴族探偵の続編。 日記:「メルカトルかく語りき」「貴族探偵」(ネタバレなし) - しゆろぐ タイトルに「対」と書いてあることからもわかる通り、すべての短編において二つの推理が披露される。当然、真実は片方なので、一度提示された推理がひ…
フランス白粉の秘密はミステリ好きなら知らぬ人のいないだろうエラリー・クイーンの二作目で、私にとってはこれが初めてクイーンの作品に触れる機会でした。ミステリ好きじゃないので仕方ないですね。 以前、麻耶雄嵩についてブログで書きました。 日記:「…