日記:「新米姉妹のふたりごはん」(5)

お詫び。

前回の記事でこんなことを書いた。

料理に入るたび、長髪のあやりが髪を束ねる描写が必ずと言っていいほど入ってくるのがフェティッシュというか、作者が拘りを持ってそうだなと思う。

日記:「新米姉妹のふたりごはん」 - しゆろぐ 

そもそもあやりが毎回つけているシュシュはサチからもらったものなので、これは単にフェティッシュな描写ではなく、人間と人間の関係を強調する描写でもある。

すべて私の読解力がなかったがゆえに、こんな適当極まることを書いてしまった。

申し訳ない。

 

ちなみに、前回の記事でサチの幼馴染ポジションの絵梨についてほとんど言及していないが、これは私が良い感じに絵梨さんが持っている感情について言及できなかったので、書かなかった。言葉にできないからといって、嫌いとか興味がないとかそういうことではないんですよ……。

 

以下、好きな回について書いていく。

5巻は割と好きな回が多かったので、微妙に熱量がこもった文章になってしまった。

 

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・天ぷら(24話)

カウンターで食べる大人な雰囲気の天ぷらが食べたいというサチの無茶ぶりを、あやりが異常な実行力で叶える回。天ぷらが出てくる前から、お店さながらに器が置いてあるので迫力がある。そもそもカウンターキッチンになっているので雰囲気が出る。

高校生が謎に贅沢な料理と食事をする楽しさにあふれている回で、新米姉妹シリーズの醍醐味がぎゅっと詰まったエピソード。前回の感想でフライドポテト回も好きな回として挙げたが、(お店の)ロールプレイを楽しむ回という点で、映画館のように映画を見ようとするフライドポテト回に近いものがあるかも。

料理の描写と食事の描写が交互に来るので、料理パートと食事パートが別れる回とは違った感じで楽しい。料理の工夫だけでなく、どんな順番で天ぷらを提供するかという点にも、あやりの拘りが見て取れる。

おまけ漫画の、まかないで天丼を食べようとするあやり、天丼は天丼で食べたくなるサチというくだりも面白かわいい。

解説についていた、「寿司や天ぷら」がどうして日本らしい料理と捉えられるのか、という話も面白かった。

 

・メロンパン(26話)

メロンパンとはなんであるか、スペシャルなメロンパンを作りたいというアホなノリで始まる回。そんなサチの無茶ぶりをあやりが異常な実行力で叶える……。

結局、どのメロンパンが最高かみたいな話にはならない。究極のメロンパンと至高のメロンパンで勝負するような漫画じゃないからそれはそうだ……。

個人的には、あやりが余った生地でつくったカメを模したメロンパン(カメロンパン)が最高のメロンパンかな……。子供のころを思い出す。

一週間に一回くらいだったか、家の前に、ワゴン車?みたいな車を使って、パンの屋台みたいなことをしているお店が来ていた。そこでは、有名なキャラクターやら何やらを模した菓子パンが売られていて、なんとなくそれを思い出した。

(自分語りだ……)

 

・ピザ(28話)

あやりの友人(篠田さん)がサチとあやりの家に訪れる回。

この話の前振りになっているメロンパン回のラストで小さくサチが篠田さんに嫉妬しているかも?みたいな描写があったり、この回ではあやりの姉としてしっかりと(?)ふるまおうしている描写があったり。なんというか、5巻は、あやりが学校で友達をつくるという変化を描く巻でもありつつ、サチが無邪気で明るいだけじゃない側面をいつもより出している巻でもあった。

で、142ページ、篠田さんが帰ったあと、ギャグマンガ的描写で頭から煙が出たりしつつ、サチの緊張の糸がほどける。ここで、ちょっといつもよりセットされている感じのあった髪がちょっとぼさぼさになったりもする。

ここからのくだりが本当に好きなんですよね。

何が好きって、142ページ最下段のサチの表情。

自分がしっかりお姉さんらしくふるまえたか心配するサチに対して、あやりに「いつだって姉さんは私の自慢の姉さんです」と言われた直後の表情。

不意を突かれたかのように、心が剥き出しになってしまっている表情。ちょっと情けなくて、照れた表情。ギャグ的な描写の余波で、髪がちょっとぼさってしてるのも含めて、なんというか普段は見せない表情。

この漫画は、サチとあやりの絆を確かめ合うような描写というか、素敵な姉妹としてのハッピーな描写がたびたび入る。それは、素敵でハッピーではあるけれど、どこか予定調和的にも感じる面がなくもなかった。

(こう書くと、批判しているように見えるかもしれないけど、それは「楽しさ」みたいなのが全面に満ちているこの作品において、必ずしも悪いことではない。もっと言うと、この記事の冒頭で述べた話のように、私の読解力が追い付いていないだけという面もあると思う)

でも、142ページ以降のくだりはそれまでの描写とは明らかに質感が違っていて、その質感の違いを私のような読解力のない人間でもきっちり読み取れるのは、絵の力に依るところが大きいと思う。142ぺージと143ページが本当に好きです。

ちなみに同じ回の124ページ下段のサチの表情も好きです。