日記:「プラダを着た悪魔」
元気になる映画、とおっしゃる方がいて、半信半疑だったけど嘘じゃなかった。
凄いけどやばい上司の下で働くことになった主人公が、ひどい目に遭いつつ頑張る話。
「ひどい目に遭いつつ」の描き方が最初こそ長い尺をとるのだけど、だんだん映像としてリズムがよくなっていったり、わりと早めに主人公がやばい上司の上をいく対応ができるようになったりで、そこまで苦しくない。
むしろどんどん変わっていく主人公に小気味よさすら覚える。
タイトルからして、もっとドロドロで陰謀でぐちゃぐちゃな話かと思っていた。
仕事にすべてをささげるくらいの勢いにどうかと思うところはあれど、とても真摯に仕事に向き合っていて、悪魔じみた陰謀で同僚を陥れる!みたいな上司じゃなかったので安心。
私はファッションのよくわからない人間なんですが、ファッションとしてダメな服を意図に反して使ってしまったら台無しな映画なので、その方面の努力はすごいんだろうなぁと。
金曜日の夜とかにみたい映画だ。
この先ネタバレ。
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なんかすごく厳しい上司に淹れるコーヒーがスタバでいいのか、みたいなことを思った。
スタバは日本だとおしゃれ扱いされているが海外だと単なるチェーン店扱いだ、という情報を耳にしたのですが、これはこれで嘘なんでしょうか。
まぁミランダは編集長であって貴族ではないし、強いこだわりがあるのはあくまで服装の話なのかもしれない。
現実的に考えて、高級なコーヒーを淹れなくちゃいけないということになると、アシスタントがまずバリスタを目指さなくちゃいけないしね。
「安物の既製品」を着ているつもりの主人公が、無関係だと思っていたファッション業界とのつながりを説かれるシーンがけっこう好き。ここは、「凄いけどやばい上司」の「凄い」を、ファッションに疎い観客相手でもわかりやすい形で示しているところだと思う。
主人公を取り巻く色々な人たちが、厳しいようで協力してくれたり、少しずつ認めてくれたり、打ち解けてくれたり、そういうのはやっぱりカタルシスだ。
洗練された美しい映像とテンポのいい展開で、ミランダの下で働くことの辛さと華やかさを巧みに描き切ったうえで、主人公がそれに背中を向けるという決断を描けるのも綺麗だし、ミランダがそういう決断をした主人公をきっちり認めている描写ができるのも、ありがちっちゃありがちだけど、やっぱり好きだ。
面白かった。