日記:「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」

※アニメ版の感想ではなく、1993年の実写映画の感想です。

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」に関連して、個人的な思い入れがある。

思い入れといっても、好きなアイマス二次創作の作者さんがこの作品を好きだった、というだけの話。「打ち上げ花火~」に思い入れがあるわけでなく、その人に思い入れがあった。作品自体は初めて見た。

ずっと見ようと思っていたのに、いつの間にかアニメ映画になってしまって、出遅れた感も否めない。そんなこんなで、ここ最近岩井俊二作品を見ていたわけである。

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リリィ・シュシュは怖そうなので、しばらく見ないつもり。

この先ネタバレあり 

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小学生の描き方がすこぶるうまい。

好きな女の子と花火大会に行ける状況なのに、友達にからかわれたくないからか、一緒に歩くのが気恥ずかしいからか、ことわってしまう男の子とか。

男の子グループのじゃれ合いも、かなり懐かしい。俺にもああいう時代があった気がする。花火は横から見たら丸いのか、平べったいのか、という話題で、秀才くんが花火の見え方をレクチャーしようとするのに、「この前横から見たら平べったかった」と言い出す子がいたり。機嫌を悪くした子の怒り方も結構リアル。

駆け落ちと言われて、心中と間違えて「死ぬの?」と返すくだりとかもよい。

作中にちゃんと登場する女の子は、ちょっと特別な状況の子なので、女の子に関してはそこまで「わかる~~」とはならなかった。

 

 

他には、透明感のある音楽と夏の情景が素敵に噛み合っているところが好き。

凝った構図がでてくるわけではない(と思うのは俺が構図がわからないからかもしれないけど)。それでも、山道、駅のプラットホーム、人のいない駅のベンチ、夜のプール。夜のプールはそれだけでちょっと特別な場所だけれど、何でもないような場所がなんとなく特別に見える雰囲気がある。

男の子と女の子のやりとりもよい。女の子が実現する気のないことを言い続けて、男の子は翻弄される。駆け落ちとか、東京に行くとか、水商売をするとか、泥棒になるとか。そんな女の子が最後に言った「今度会えるのは2学期だね」という言葉は実現しそうだからこそ他の言葉とは異なったもので、なのにそんな言葉さえ現実にならない。その一種の残酷さがいい。

 

「もしも、」で物語が展開することに関しては、それが何らかの面白みにつながっているとはあんまり思わない。そういう企画だったんだなぁという感じ。後半の出来事はぜんぶ少年の妄想です、ということにしてもいいけど、それで面白くなるかと言えば面白くならない。

 

花火に関して。

プールのシーンで花火が映らなかったとき、この作品は花火を映さずに終わるのかと思っていた。しかし最後の最後でやっぱり花火を映す。一度ははぐらかすあたりに美学を感じなくもない。灯台に立つ少年たち越しに花火を映している画がとてもいい。あれこそ夏の回想だと思う。

 

アニメ版も近々見るはず。

ぶっちゃけ名前を借りた別ものになってる気しかしない。