日記:「花とアリス」
いい映画だというのがよくわかる。
一方、そこまで心には来なかった。
俺の精神状態の問題かもしれない。
ネタばれというほどでもないネタバレを書きます。
物語の断片を彩る出来事をつくるのが上手な人だと思う。
映画だから、「シーン」というのが適切かもしれない。
花がバスから降りるときにアリスがバスのなかから手をつかんで降ろさないシーンとか。
父と娘が携帯電話を拾うシーンとか。
どのように些細な出来事をつらねて全体的なエピソードを展開するか、というのが上手で面白い。
ただ、こういうところに技術というかテクニックというか、上手さを感じてしまうのはあまりよくない気がする。浸れていない証拠だ。もっとも、これは俺の問題だと思う。
物語にあまり入れ込めない状態が続いている。タイトルにあるように、これは日記であって、映画の批評でも感想でもないので、自分の状態が考慮に値される。
映像としては十分に浸り得る作品なので、それにトリップして、感想なんて書けない、という状態になれる気がする。なってみたい。
物語はちょっとしたトラブル?から、色々なことが起きて、最終的にはそれが解消されて丸く収まるというごく教科書的なもの。丸く収まりすぎじゃないかとも思うところもすこしあったけれど、そこはご愛敬。さっきは物語の断片における出来事がいいと言ったが、終盤の物語の核となる出来事もすこぶるよいものになっている。映すものではなく、映像という媒体そのものへのフェティシズムが、結果的に映すものへのこだわりにつながっているように感じる。いい映画だな、というのはこういうところにも感じる。
見てよかった。