日記:「エド・ウッド」

エド・ウッドとは史上最低の映画監督と名高い伝説的な映画監督だ。

彼の名前が知れ渡っているのは、史上最低の映画監督であるにも関わらず、映画への情熱は本物だったからだという。

そのエド・ウッドの逸話の数々を下敷きにしてティム・バートンがつくった映画がこのエド・ウッドとなる。エド・ウッドの逸話を知らない観客は、彼の奇想天外なエピソードの数々を追うだけでも面白いだろう。

この作品の核となるのは、落ち目の名優ベラ・ルゴシと最低の監督エド・ウッドの家族愛にも似た友情だ。それが単なる変人のエピソード集にはない感動をもたらす。

 

自分が視聴した際には、エド・ウッドについて前知識が多少あったので、前半はエド・ウッドの逸話を映画としていい感じにまとめただけだなーという退屈感も多少あった。しかし中盤以降、鬼気迫るベラ・ルゴシを描くホラーを意識したワンシーン、あまりにひどい映画に暴徒と化す観客、観客から逃げ出すエド・ウッドに口説かれて集まってきた仲間たちの不思議な連帯感、妥協に妥協を重ねる映画の撮影、見ていて楽しいシーンが続く。

 

共同体にうまく包摂されない人たちが寄り集まってつくる何らかの世界。俺は、そういうのが好きな人間だ。だからか、エド・ウッドとその周囲の人間の馬鹿騒ぎみたいな日々は、見ていて安堵する面もあった。

エド・ウッド [DVD]

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