日記:好きな短歌・和歌50首

短歌について日々なにかを考えている知人がこんな記事を書いていた。

いい短歌ってなんだろう。ぼくの中でこたえが出てないのだけど、今日はとりあえず「どれだけ人の短歌覚えてるか」思い出せるだけ思い出してみた。なんとなく次のルールになってます。

・ひとり2首まで
・暗唱できても好きじゃないのはパス
・順番はシャッフル

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私も似たようなことをしてみたいと思ったが、私には暗唱できる歌はほとんどなく、せいぜい、西行の一首と和泉式部の一首くらいのものなので、同様の記事は書けない。

(暗唱できる好きな和歌2首になってしまう)

また、現代短歌だけで50首にはならなかったので、和歌も何もかもごちゃ混ぜになっている。

(ちなみに、完全に感覚で読んでいるので、そもそも短歌と和歌の違いがあまりわかっていない)

今の気分とか、知っている人だとか、そういう補正も大いにかかっていると思う。

そんな感じで、それでもよければ50首選んでみたので、どうぞ。

 

ルール

・ひとり2首まで

・あいうえお順

 

綿津見

 洗いたてのシーツの皺を伸ばしつつ「夏来にけらし」呟けば風

 

純多摩良樹

 生きのこる文鳥のためあたたかき陽は少しずつ部屋にさしこむ

 

徳川家康

 嬉やと再び覚めて一眠り浮世の夢は暁の空

 

山川登美子

 おつとせい氷に眠るさひはひを我も今知るおもしろきかな

 

慈円

 をり知れる安芸の野原の花はみな月の光の匂ひなりけり

 

若山牧水

 かたはらに秋ぐさの花かたるらくほろびしものはなつかしきかな

 

窪田空穂

 川の瀬に立つ一つ岩乗り越ゆと水たのしげに乗り越えやまぬ

 

北原白秋

 君かへす朝の舗石さくさくと雪よ林檎の香のごとくふれ 

 

和泉式部

 君恋ふる心は千々にくだくれどひとつも失せぬものにぞありける

 

紀友則

 君ならで誰にか見せむ梅の花色をも香をもしる人ぞしる

 

西行

 きりぎりす夜寒に秋のなるままに弱るか声の遠ざかりゆく

 

松平盟子

 切るナイフ抉るスプーン刺すフォークきらきらしくて惨たり食は

 

馬場あき子

 くれなゐを冬の力として堪へし寒椿みな花をはりたり

 

藤原定子

 煙とも雲ともならぬ身なれども草葉の露をそれとながめよ

 

木下利玄

 コスモスの花群がりてはつきりと光をはじくつめたき日ぐれ

 

洋渡

 しがみつき花の蜜吸う蜂だけが花に最も近づいている

 

安永蕗子

 十億の民しづかなる国に来て音せぬ靴を穿く冬の旅

 

正岡子規

 十四日、オ昼スギヨリ、歌ヨミニ、ワタクシ内ヘ、オイデクダサレ

 

藤原定子

 知る人もなき別れ路に今はとて心ぼそくも急ぎたつかな

 

北原白秋

 廃れたる園に踏み入りたんぽぽの白きを踏めば春たけにける

 

建礼門院右京大夫

 月をこそながめなれしか星の夜の深きあはれを今宵知りぬる

 

大江千里

 照りもせず曇りもはてぬ春の夜の朧月夜にしくものぞなき

 

豊臣秀吉

 露と落ち露と消えにし我が身かな浪速のことは夢のまた夢

 

金子薫園

 鳥かげの窓にうつろふ小春日を木の実こぼるる音しづかなり

 

洋渡

 閉じてなお絵本は続き銀色の馬が窓辺で嘶いている

 

綿津見

 夏が去る/エンドロールの後にまだ何かある気がして動けない

 

よみ人しらず

 難波津に咲くやこの花冬ごもりいまは春べと咲くやこの花

 

西行

 ねがはくは花の下にて春死なむその如月の望月のころ

 

石川啄木

 はたらけどはたらけど猶我が生活楽にならざりぢつと手を見る

 

福永武彦

 初雪のはだら悲しき道明かりいゆき果てれば童話の世界

 

式子内親王

 花は散りその色となくながむればむなしき空にははるさめぞ降る

 

崇徳院

 花は根に鳥は古巣に帰るなり春のとまりを知る人ぞなき

 

安永蕗子

 はなびらを幾重かさねて夜桜のあはれましろき花のくらやみ

 

さよならあかね

 パプリカの黄色いほうを投げるから勘違いして恋に落ちてね

 

吉井勇

 春の海沖をにほはす珊瑚樹のうすくれなゐの枝に眠る魚

 

清原深養父

 光なき谷には春もよそなれば咲きてとく散る物思ひもなし

 

四賀光子

 ひぐらしの一つが啼けば二つ啼き山みな声となりて明けゆく

 

紀友則

 ひさかたの光のどけき春の日にしづ心なく花の散るらむ

 

藤原彰子

 一こゑも君につげなむ時鳥この五月雨は闇にまどふと 

 

和泉式部

 人もがな見せも聞かせも萩の花さく夕かげのひぐらしの声 

 

坂本龍馬

 藤の花今をさかりと咲きつれど船いそがれて見返りもせず

 

清原深養父

 冬ながら空より花の散りくるは雲のあなたは春にやあるらむ

 

岡野弘彦

 呆れぼれと桜ふぶきの中をゆくさみしき修羅の一人となりて 

 

正岡子規

 真砂なす数なき星の其中に吾に向ひて光る星あり

 

小中村清矩

 待ちてさく梅の香よりもうれしきはあしたの窓にひらく一ひら

 

木下利玄

 街をゆき子供の傍を通る時蜜柑の香せり冬がまた来る

 

藤原定家

 見わたせば花も紅葉もなかりけり浦の苫屋の秋の夕暮

 

山東京伝

 山々の一度に笑ふ雪解にそこは沓々(くつくつ)ここは下駄々々(げたげた)

 

二条のきさき

 雪のうちに春は来にけり鶯の氷れる涙いまや解くらむ 

 

神山六人

 冷凍庫アイスキャンディアソートのグレープ味が残り続ける