日記:「虚構推理」
アニメ化したので講談社タイガ版を再読。
ストーリーの大筋は覚えていたけど、キャラクターは全然覚えていないくらいの状態だったので、ノベルス版とタイガ版で変更点があってもわかりません。
なんといってもこの作品の肝はタイトル通り「虚構推理」にある。
人から信じられること、恐れられることによって実際に生まれてしまった都市伝説。
その実在してしまった都市伝説を合理的な、虚構の推理によって暴き立てることで打ち倒す。妖怪やこの世ならざるものが実在する世界だからこそ成立する「推理」小説。激アツです。
推理といっても、合理的なだけでは納得されない。「面白い」解決を示さなくては、広まった都市伝説に対抗できない。そういう点で、9年前の作品ではありますが、今のインターネットの時代にも通じるところがあります。
再読した印象としては、覚えてた印象より下ネタが多いな……と。主人公の岩永琴子に関してはそういうキャラって感じなので良いんだけど。元グラビアアイドルが題材になっているところで胸がどうのというのがいちいち出てきてちょっと辟易としなくもない。
でも、都市伝説となって鉄骨をふりまわすことになるアイドル・七瀬かりんの生前の描写についてはとても生き生きとしていて良い。
この作者は、過去に「鋼鉄番長の密室」という作品で、番長戦国時代という架空の歴史を打ち立ててその歴史の真実を推理するというアホな斬新な話も書いているんだけど、そのときから「逸話的・列伝的」な人物描写が結構うまい。その描写力が存分に生かされてた作品にもなっている。
一度目に読んだときに気になったのは、インターネットの描写。個人的には「なんかちょっと違う感じがする……でも不特定多数の匿名を書くのって難しいよなぁ」というところがあった。ただ、インターネットにも色々あると思うし、今読むとそこまでではなかったかな。
アニメ化において楽しみなのは、「不特定多数に解決が面白いものと納得されるか」という虚構争奪議会の採決が、まさにアニメ版で下されることになるのではないかな、というところ。
アニメはよくも悪くも敷居が下がるので、その分劇中の「まとめサイト」と同じような状況で作品を見る人も増えると思うんですよね。
もちろんアニメ版の演出次第というところもあるだろうけど。
そういう意味で、アニメ版の鋼人七瀬編は割と楽しみ。
アニメ表紙より普通の表紙を表示したかったけど、なんかアニメ表紙しか表示できなかった。