日記:ポケモン対戦の人が使う「見る」が気になる

ポケモン対戦の文脈で、おおよそ「AにBで対処できる」みたいな意味で「AをBで見(ら)れる」が使われることがあって、たぶん今更すぎるけど、ちょっと気になった。 

対戦考察系サイトの用語集にも、「(~を~で)見る」という形で立項されている。

(~を~で)見る
特定のポケモンへの対処法として使うこと。「~の面倒を見る」に近い。

用語・略称集 - ポケモン対戦考察まとめWiki|最新世代(ウルトラサン・ウルトラムーン&サン・ムーン)

 

実際の例は以下のようなもの。

以下はゲームについて語りながらプレイしている様子を録画したタイプの動画。

(動画時間6:50~7:00頃)

www.youtube.com

ギャラナットに対しては、僕、ヒートムを最速で育成してきたんで両方見れるんですよ。

ギャラナットは、ギャラドスというポケモンナットレイというポケモンの組み合わせを略したもの。「ヒ―トムを最速で育成してきた」というのは、「すばやさが最速になるようにヒートム(ヒートロトム)というポケモンを育ててきた」ということ。

で、本題の「見る」だけど、「両方見れる」の「見る」も単なる知覚をあらわす「見る」とは違う使われ方をしている。「最速のヒートロトムを使えば、ギャラドスナットレイの両方に対して対処できる」という使い方がされている。

 

以下のような例もある。

どくづきでフェアリータイプも見れる

【ウルトラサンムーン】シングルレート使用率ランキング【最強ポケモン考察】【ポケモンUSUM】 - アルテマ

この場合は特定のポケモンではなく、フェアリータイプというタイプに分類されるポケモン全般に対して、どくづきという技で対処できるという話になっている。

 

可能形の例が続いたが、可能形ではない形でも出現する。

そのためこの構築ではローブシンをカバ、キノガッサキノガッサパルシェンドリュウズで見るようにしています

【ポケモンBW2】レート1800安定したカバラッキー構築【※転載※】 群馬大学GA研究会 なんでもにっき

 

気になったポイントそのいち。

1つは単純に、ポケモンだけの用語なのか、対戦ゲーム全般の用語なのかということ。

色々検索してみているけど、「見る」があまりにも基本語すぎるので、対処の用法ではないものも大量に引っかかってしまうので難しい。

格闘ゲームとかで普通に使われていそうな気もするし、戦っている当事者を入れ替えることができるポケモンならではの用法と言われても不自然ではない気もする。

 

気になったポイントそのに。

やっぱり、何故「見る」なのかが気になる。

まとめWikiの用語集の記述にある「面倒を見る」との関係は確かにありそう。

過去をあらわすタ形とかにできない気がして、その点で「対処する」と完全に言い換えられるわけでもなさそう。

(1) さっきの対戦では、パルシェンドリュウズで対処したが、本来の想定とは違った。

(2)??さっきの対戦では、パルシェンドリュウズで見たが、本来の想定とは違った。

 

(2)はちょっと変な気がする。私はポケモンの対戦を自分でやっている人間ではないので、対戦をやっている人の語感では言える可能性ももちろんある。

テイタなら問題ないかな。

(3) 昔はパルシェンドリュウズで対処していたが、今は別のポケモンを使っている。

(4) 昔はパルシェンドリュウズで見ていたが、今は別のポケモンを使っている。

 

なんとなく、「実際に対処する」というよりは、「Aの対策としてBを採用すること、待機させること」について「AをBで見る」という言葉が使われているのかなという感じがする。

そういう意味だとすると、目で知覚するという意味で使われる「見る」との共通点もいろいろ考えられそう。

例えば、知覚の「見る」を「視界というある種の射程に収める」という意味だと考えて、対処の「見る」も「敵のポケモンを対応可能な射程に収める」という意味だと考えると、「射程に収める」というところが抽象的に共通していると考えられるかもしれない。

すると、「対処した」に相当する過去のタ形で「見た」を使うのが不自然なのも説明ができる。あくまで対処の「見る」の意味範囲は「対応可能な射程に収める」ところまでであって、実際に戦って対処をするという行為については、対処の「見る」の意味範囲とは少しズレているのかもしれない。

 

少ないデータについて、適当に説明をでっち上げただけなので、不正確な話ですが。

そんなわけで、「見る」がちょっと気になるなーと思っている。