日記:「リトル・マーメイド」「美女と野獣」「アラジン」
コードネーム U.N.C.L.E.が御洒落カッコイイ娯楽映画として最高だったので、ガイ・リッチー版実写アラジンが楽しみな今日この頃です。
だから、という訳ではないのですが、「リトル・マーメイド」と「美女と野獣」と「アラジン」を見ました。この3作はヒロインがディズニープリンセスみたいな形で括られるグループの一員になる訳ですが、「リトル・マーメイド」は1989年、「美女と野獣」は1991年、「アラジン」が1992年と続けざまに上映されているのが面白いです。それ以前のディズニープリンセスが登場する映画は、オーロラ姫が登場する1959年の「眠れる森の美女」なので、30年間の空白があります。
とか言ってると、「歴史を追うためにディズニー映画を振り返った」みたいな高尚な感じがしてきますが、実際にはなんとなく見ただけですし、ついでに言えば「美女と野獣」は実写版を見たので特に歴史は振り返っていません。そもそもディズニーの歴史については全然詳しくありません。
個人的な印象としては、アナ雪あたりで言われていた「王子様-お姫様」モデル?みたいなものからの脱却というのは、アナ雪以前に少しずつ始まっていたんだなーという感じがしました。
女性であるアリエルが主体的な選択によって行動をしていくリトル・マーメイド、「真実の愛」を男側が求めることになっている美女と野獣はわかりやすい。
アラジンだと、親に決められた結婚を拒んで、貧乏でも自由に生きるアラジンに恋するジャスミンと、ジャスミンに好かれるためにランプの魔神に願って自分を偽って王子様になろうとする(そしてジャスミンに煙たがられる)アラジンという構図は「王子様-お姫様」という単純な図式に懐疑的だからこそ出てくる構図です。たぶん。
まぁ天下のディズニーなので、そういう話は散々されていると思いますし、私がわざわざ書くことでもないのですが。
(そんなことを言ったら自分のブログ全否定になる気もしますが、まぁ)
以下、ネタバレありで個々の作品の内容に触れて感想書きます。
リトル・マーメイド
話のテンポがよかった。
アースラの洞窟?の雰囲気とか、グロテスクとかホラーとまでは言わないけどおどろおどろしくてなんとなく怖い感じでいい。
ただ、アースラの敗因?にあまり納得がいかなかった。海の支配者の力を吸収して、海は自由に操れるとまで言ったくせに、船に激突されて負けるってそれでいいのかよアースラ。雰囲気も演技もダークでかっこいいだけに、ちょっと拍子抜けだった。
実写版を見た。アニメ版とは違うル・フゥのキャラクターはとてもよくて、知性的な取り巻きの存在がガストンとの対比として綺麗に機能していたと思う。
美女と野獣について「野獣から王子様に戻るのはルッキズムだ」みたいな批判を見たことがあるけど、そもそも醜い心を持っているから醜い野獣に変えられてしまうというところがルッキズムなので、最後に戻る戻らないはあまり関係ないと思う。
個人的には、野獣のときの姿のほうがなじみ深いので、最後に人の姿に戻られても「誰っすか?」みたいな気持ちになってしまうけれど、これはあくまで俺が野獣の姿の方に愛着があるという話でしかない。ルミエールとかも燭台の姿の方が好きだけど、これも同じ話。
そういう話をするならば、何故魔女は「(恋愛的に文脈における)真実の愛」で解除される呪いをかけたのか、みたいなことを気にした方が面白いと思う。
野獣は、醜い老婆を城から追い出そうとする。で、その醜い老婆は魔女だったので、野獣にある種の罰として呪いをかける。それは醜い野獣の姿に変えられるというもので、醜い老婆をひどく扱った野獣に相応の罰に見える。しかしながら、キスを必要とするような真実の愛によって呪いが解けるというところがちょっとよくわからない。
別に野獣は醜い老婆に対して恋愛感情を抱けなかったから無下に扱ったのではない。そういう意味で野獣が獲得すべき愛は、恋愛のような意味における真実の愛ではなく、どんな人にも情けをかける思いやりのような意味での愛であるはずなのに、それがキスを必要とするような「真実の愛」に回収されてしまうところに、ある種の規範だかイデオロギーだかを読み取ったりもできる。
まぁ別に、魔女がひどい扱いを受けた腹いせに、「醜い野獣の姿で真実の愛を得る」という難題をふっかけただけということならそれはそれでいいけど。ただの嫌がらせと考えれば、何も問題はない。
あと野獣とガストンを比較したとき、結局「生まれ」や教養の有無に色々なことが回収されてしまう感じがするとか、そういうことについて考えてみても面白いかもしれない。
そんな風に色々言おうと思えば言えるわけだけど、リトルマーメイドの2年後に美女と野獣が出てくるというのははっきり言って凄いことだと思うし、従来とは多少なりとも異なる価値観を入れ込みながらディズニープリンセスの物語を成立させている「美女と野獣」はやっぱり傑作だと思う。
全体的に曲もいい。冒頭のBelleは映画を見始めてさっそく楽しげな気持ちになれるし、ポット夫人のBeauty and the Beastはうっとりする。The Mob Song(夜襲の歌、英題だとこんなタイトルなのか)も盛り上がる。
何よりBe our guestが最高。俺はルミエールが好きなんだ。
アラジン
上で書いたように、リトル・マーメイドについてはアースラの末路が気にくわなかったけど、アラジンは悪役であるジェファーを倒す方法が工夫されていて、リトル・マーメイドに比べれば格段に納得のいくものになっていたと思う。ここら辺のとんち?は原作にもある要素なんだろうか。気になる。
冒頭からアラビアンナイトの異国情緒あふれる雰囲気でがっちり捕まれる。夜の砂漠ってなんか色気がある気がするんだよな。なんだろう。
ジェファーの喋り方?声?とかも気持ちのいい低音ボイスでとてもよい。
曲で言うとやっぱりとFriend Like MeとA Whole New Worldが好き。盛り上がる。
どの作品も、一応アニメ版は子供のときに見ていた気がするけど、そのころの思い出と比較するとどの作品もテンポがいいと感じた。
子供の方がやっぱり体感時間が長かったりするんだろうか。
そんな感じ。ガイ・リッチー版のアラジン楽しみだなぁ。