日記:アニメ「やがて君になる」1話

見ましたか? 俺は見ました。

あなたも見ましょう。

あらすじとかは書かずに、原作との差異やアニメを見て思ったことについてざっと書いていきます。

各話感想リスト

日記:アニメ「やがて君になる」1話 - しゆろぐ

日記:アニメ「やがて君になる」2話 - しゆろぐ

 

露骨に小糸の主観視点で映像をつくっている部分とかあって面白かったですね。

主観である、と判断する基準はカメラの揺れ方とかに由来するところなので、実はアニメならではの演出なのかもしれません。

瞼が閉じる描写とか視界がかすむ描写とかなら漫画でもよくありますけどね。

 

全体的に、原作よりは、小糸侑の感情を強調するような描写が多くなってましたね。

冒頭のモノローグにしても、

少女漫画やラブソングのことばは キラキラしてて眩しくて 意味なら辞書を引かなくてもわかるけど わたしのものにはなってくれない(原作1巻p.3)

から

少女漫画も、ラブソングの歌詞も、わたしにはきらきらとまぶしくて、でも、どうしても、届かなくて、意味なら辞書を引かなくてもわかるけど、わたしのものにはなってくれない

と「どうしても、届かなくて」のあたりが恋に対する小糸のスタンスを明示するようになっていたり。

告白に遭遇したとき息を漏らす描写とか。

教室での心情描写的なイメージ映像で足元が水に浸かる描写とか。

「だって今まで好きって言われてどきどきしたことないもの」という先輩の言葉に、自分のスカートを握る描写とか。

 

声がつくことによって声が震えていることがわかったり、映像として漫画のコマとコマの間を自然に埋めたら自然とそうなったりということもあるでしょうが、やっぱり全体としては小糸が感情を表立って見せるような描写が多かったように思います。

声がついて印象的なところと言えば、「本で読む歌で聞く恋はきらきらしててわたしだってそのときになれば羽根が生えたみたいにきっとフワフワしちゃったり」というモノローグが本当に期待とわくわくした気持ちに満ちた演技で、あー小糸、あー小糸、という感じになったり。

 

あと、描写としては漫画と変わらないところですが、気づいたこと。漫画を読んでいたときには小糸のほうに肩入れしていてあまり先輩に何が見えていたのかということがわかっていなくて、例えば、相談しようとしている小糸の意図を見抜く場面。

あの場面は、わざわざ先輩の話を遮ってまで大したことでもない質問をしたり、お手伝いの身で気を利かせて(おそらくいつも)お茶を入れるような小糸がそれにやっていなかったり、小糸がいつも通りじゃないんですね。

でも、基本的には普通の声で世間話をしていたり、モノローグの切迫した声と違って、表面的には普通そうにしている。

こういうことに気づくスマートさは、さすが七海燈子って感じがします。いや、アニメ見るまで気づかなかった俺が観察力のない馬鹿というだけかもしれませんが。

 

あと漫画と違う描写だと、道案内をしてくれる先輩の意図に一瞬ついていけず突っ立ってる小糸に、ジェスチャーで意図を伝える先輩のくだりとかはちょっとコメディタッチでよかったですね。

先輩の感情に関する部分だと、特別という気持ちがわからないという小糸に、「わからない?」と先輩が聞き返すセリフが追加されています。あくまで「優しい先輩」として話す声に比べて、このときだけ露骨に感情があらわれていますね。

 

あと、生徒会室に初めて案内されたときの描写でやたら風が吹いていましたが、あれはなんなんでしょうかね。なんか特別な出会いを強調するような演出でそこはちょっと解釈違いを起こしているかもしれない。俺の解釈が正しいわけではないので全然問題ないのですが、個人の感想として。

小糸が告白されたときの、桜が舞う描写とかとなんらかの対比があるんでしょうかね。ただ単にアニメ的な見せ場をつくっているのかもしれませんが。

 

以降原作6巻までのネタバレあり

 

 

 

まぁ1話なんで先のネタバレになるようなシーンがたくさんあるわけじゃないんだけど。

重要なのが一つ。

 

告白をことわる際の小糸のモノローグの場面「少女漫画も、ラブソングの歌詞も、わたしにはきらきらとまぶしくて、でも、どうしても、届かなくて、意味なら辞書を引かなくてもわかるけど、わたしのものにはなってくれない」と冒頭のモノローグが繰り返される(ここで繰り替えされるのも原作からの変更点)わけだけど、この場面で映る風景が! なんかもー! なんかもーって演出だよ。原作既読者に対する殺意を感じる。

5話の選挙前に二人で話す体育館の外。2話でキスをする踏切。10話で小糸が「好きにならないよ」と言って、そして34話でまた訪れる川の飛び石。小糸の部屋。16話でなんとなくいちゃついている体育館倉庫。

伏線というより単なる前振りだけど、ここでこれからの物語における象徴的な風景を連続して映していて、最新刊を読んだあとだとこの風景だけで感情になってしまう……。

何より川の飛び石がさぁ。6巻を読んでるとさぁ。本当に……。

これからどうなっていくかは正直わからないけど、原作読者もアニメ見よう。