日記:「コードネーム U.N.C.L.E.」
去年から、ちょいちょいスパイ映画を見ている(そんなに見ていない)けど、この作品は結構あたりだった。
1960年代に放送された「0011ナポレオン・ソロ」という作品をリメイクしたものらしい。ただし、作中の舞台は現代ではなく、ちゃんと60年代になっている。
冷戦下でアメリカのスパイとソ連のスパイが協力するというドリームチーム的な設定だけで既にわくわくできるけど、冒頭で二人が対立するアクションシーンをふまえているので、反目し合う二人が絆を深めていく、的なバディものとして教科書的な展開になっている。アメリカのスパイであるソロはプレイボーイとして描かれている一方、ソ連のスパイであるイリヤは女性慣れしていない堅物っぽく描かれていたり、性格面での対称性も美しい。
全体的にはコメディっぽい場面も多い。二人で潜入する際に、片方が地道にやっている作業を、片方が便利な道具を使って一気に片づけてしまったりして、妙に気まずい、みたいな間の作り方とか。逆に言えば、反目し合う二人に関する描写は結構コメディとして回収されていて、見ていてつらいほどではないので見やすいと思う。
そんな感じでコメディっぽい側面も強いけど、映像は常にびしっと決まっている。オープニングやエンディングでの赤という色の使い方もそうだけど、かっこつけるべきシーンがかっこいい。冒頭で銃をかまえるソロを撮ったシーンの影のかかり方は芸術的なほど(まぁCGなのかもしれないけど、それでも美しい)。終盤のカーチェイスで泥をかぶったイリヤとかも、惚れ惚れするくらい肌が白くて、泥で色が際立つのかとてもかっこいい。
加えて、かっこいいだけではなくて、映像で説明するということを上手にやっている。終盤で三人が参加するカーチェイスのシーンは、俯瞰の描写とアップの描写をシームレスにつなげることで、三人の位置関係をわかりやすく描写している。たびたび入る種明かしを映像で行う演出はちょっと多かったかもしれないが、それでも言葉で済ませず映像でわかりやすくしようという工夫を感じる。
でもでも、この作品のどこが一番面白かったかというと、やっぱりソロとイリヤの関係だと思う。
反目し合う二人は、任務を通して関係を深めていく。
しかし、舞台は冷戦の60年代であり、二人はスパイ。
どんなにお互いを信頼できるようになろうと、任務が終わればまた敵同士に戻る。
あざといにもほどがある設定じゃないですか。最終的に敵同士で終わるにせよ、また協力するにせよ、どっちの展開になっても最高なんですよ。どういう結末に着地したかはあえて述べません。気になる方は今すぐ借りるなりなんなりしてみてください。
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