日記:映画を見ていない(足摺り水族館と、少女終末旅行について)

映画を見ていない一因として、パソコンについてDVDプレイヤーが壊れしまったというのがある。

つらい。

買い換えねば、と思っているのだが、週末になるたび急用が入ったり風邪をひいたりして、どうにもうまくいかない。

映画が見たい。

じゃあ映画館に行こうと思って一作だけ見たが、風邪でダウンしていたので数作断念したままだ。

なんとなく書きたいことはたくさんある。俺はそこそこ漫画を読むので、それについて書くのもいいし、本とか、散歩とかについても書きたい。

とりあげたい漫画で言うと、「漫画好きが好きそう部門」では、panpnyaさんの漫画と少女終末旅行があるので、ちょっと書く。ネタバレとかはない。

ちなみにボーイズラブ漫画もちょっと読むので、それについてもとりあげたいなぁとなんとなく思ってはいる。

 

 panpnyaさんはこれ。

足摺り水族館

足摺り水族館

 

フェティシズムを感じるくらいに書き込まれた町の風景と、ラフに書かれた人間やよくわからない動物のギャップが魅力。「足摺り水族館」以外にも、「動物たち」「蟹に誘われて」「枕魚」など、何冊か短編集が出ている。子供のころ、いつも歩いている風景からはみ出して、よくわからない場所で迷子になったり、初めてお使いに行ったりしたときのことを覚えているだろうか。そういうとき、不安にもなるけど、どこかわくわくしたんじゃないかと思う。そのわくわくが再現されている。でもこの漫画の描き方は、わくわくに飲み込まれているわけではなくて、ちょっと冷めた、遠くからの目線でもある。それが原風景を思い出す自分にちょうどいい心地よさだ。

 

少女週末旅行はこれ。 

少女終末旅行 1巻 (バンチコミックス)

少女終末旅行 1巻 (バンチコミックス)

 

今アニメ化していて、盛り上がっている。

でも作風はいたって穏やか。滅びつつある廃墟のような階層型の巨大都市を、女の子二人が旅をするだけ。旅の目的も、食料とか補給とか、そういうものもあるけど、「それらしい」理由は存在しない。唯一存在するそれらしい理由である「階層都市の頂上を目指す」というものにも、特に合理性はない。

滅びつつある世界の景色と、そのなかで二人が織りなすちょっぴり「生きることへの問いかけ」チックなやりとりが好きだ。「生きることへの問いかけ」といっても、押しつけがましいものではなくて、二人が旅の中で人類の遺物に触れながら純粋な興味や疑問をぽろっと口にする程度のもの。

最後には死ぬんだろう、ひょっとすると明日死ぬかもしれない、という絶望がただよった世界でありながら、何かを見て純粋に感動することの素晴らしさや、朽ちていく無機物から感じ取れる人の営みというものの豊かさみたいなものが心地よく感じられる。

 

上記の二作品に共通するものとして、無機物への憧憬みたいなものがあるんじゃないかと思う。美しい景色というと自然であったり、反対にきらきらした夜景であったり、そういうものばかり連想される。

個人的には、もっとうすぼけたもの、電柱や電線や、道路や歩道や、公園や、アパートやマンションや、道路標識や案内の看板や、そういう無機物に対して覚える感情も、何らかの形で大切にしたい。夜景に比べれば、こういうものはだいぶ自然の範疇なんじゃないかと思う。人がつくったという点で人工的で、非自然的にも思えるけど、人が滅びてしまえば、大自然という環境のなかで一種類の動物がつくったにすぎない構造物として自然のなかにかえっていくんじゃないかと思う。

無機物になりたい。