日記:「マイ・インターン」
冒頭のベンの語りになんとなく共感する。
恵まれているはずなのに、欠けているような、足りない気持ちになることがある。
もっとも俺はベンのように優秀で気が利いて「行き届いた」人物ではないけど。
当初、「若手社長のもとにシニアインターンがくる」みたいな人づてのあらすじとか、「すべてを手に入れたはずの彼女に訪れた試練。そこにやってきたのは70歳の新人だった」というDVDのジャケットにかかれたキャッチコピーから、「職場の価値観とはずれた老人がやってきて、最初は若手社長が苦労させられるけど、次第に打ち解けていき、70歳の新人の能力も生きるようになってくる」みたいなあらすじを想像していた。
実際には、シニアインターンのベンはすぐに職場になじむ優秀な新人だったし、そこでひと悶着というほどのひと悶着もない。わりと順調に物語は進んでいく。物語は順調すぎるとすこし物足りなくなるが、しかし新人の問題というより、社長が抱えていた問題に物語がフォーカスされ始めるので、そこまで順調すぎるということもない。
ストレスが少ない形で、何かをこなしていくこと、頑張っていくことのやりがいみたいなものを描いている作品だと思う。
ベンとアン・ハサウェイ演じる若手社長・ジュールズの関係性もいいけど、ベンを取り巻く男たちの、どこかあどけない感じがよかった。
あと日本語話者なので、「さよなら」という日本語の挨拶が唐突に出てきたときなんとなく嬉しい気持ちになってしまった。こういう感情は単純すぎてよくないと思うけど、うまく捨てられない。