日記:「イヴの時間」
カフェもの、なんていうジャンルがあるのか知らないけど、カフェもの。
アンドロイドが実用化されて間もない世界。しかしアンドロイドに感情移入とか、人間を見出しすぎる人間がドリ系といって揶揄されていたり、「口にするものをロボットに任せるのはよくない」みたいな考え方をする人もいる。だからアンドロイドは、たいてい人間がやるようなことを頼めるだけのモノとして扱われている。
主要な舞台は、そんな世界で「人間とロボットを区別しない」というルールを掲げている「イヴの時間」という喫茶店。そんな店に集まるひとたちの日々を描いている。ちょっとあたたかい気持ちになれるお話。あんな店主さんがいる店なら行きたい。
結構ぞっとする描写もあって、例えばイヴの時間で会った「ひと」が、外でモノとして扱われているところを見てしまうシーンとか。ちょっとこわい。
設定については、そんな風になるものかなーとちょっと思う。アンドロイドに対して過剰反応しすぎじゃないかなとか。今もsiriとかと会話してる人いるし。しかし、本当に人間に近づいてしまったからこそ、モノとして扱わないと恐ろしい、みたいなことはあるのかもしれない。
この先、ネタバレあり。
主人公と彼の家庭のハウスロイド・サミィの不器用な交流が本当にかわいい。あたたかい気持ちになる。サミィがおそるおそる髪型を変えている(人間的なことをしている)シーンとかもすごくいい。
見た目が大人の女性であり、実際に基本的にはいろいろなことをできるひとが、ちょっとずつ生きることに楽しみを覚えている無邪気な様子にギャップを覚えつつ癒されるのかもしれない。
コーヒーの味、ピアノの音、髪型。ちょっとしたことが、いろいろなことを少しずつ変えてくれるのかもしれない。