感想

日記:「WATARIDORI」「ディープ・ブルー」「アトランティス」

しばらく忙しい期間が続いたので、寝しなに自然系ドキュメンタリー映画を見ていた。 WATARIDORIは鳥の渡りの様子を映像に収めた作品。 フランスの作品。邦題はちょっとどうなのかと思う。 多種多様な鳥の旅が楽しめる。あんまり飛んでいる姿を見ないペリカン…

日記:「万引き家族」

この作品を語る上で、最初に書いておかなくてはならないことが、この作品は家族の絆を全面的に肯定する作品ではない、ということです。 「盗んだのは、絆でした」というキャッチコピーなんてもってのほかだと思います。製作陣がつけたのかもしれませんが、難…

日記:「歩いても歩いても」

パルム・ドール受賞で話題沸騰の是枝監督予習編としてみました。 過去にみた是枝監督の作品としては、海街diaryがあります。 日記:「海街diary」 - しゆろぐ 簡潔に言うと、里帰りや親戚・もしくは家族という共同体の嫌なところ、きついところみたいなもの…

日記:「ムーンライズ・キングダム」

以前日記に書いたグランド・ブダペスト・ホテルと同じ監督が描く、少年少女の逃避行もの。 日記:「グランド・ブダペスト・ホテル」 - しゆろぐ グランド・ブダペスト・ホテルの感想でも書いた通り、飛び出す絵本のような独特な映像が特徴的。そういう映像を…

日記:「体育館の殺人」

体育館の殺人をかいつまんで説明するなら、「わかりやすく、スリリングで、何より由緒正しき本格推理小説」みたいな感じになります。 だから、「読んでてつらくなくて本格ミステリの面白みがわかる作品ある?」みたいなことを聞かれたら、間違いなく「体育館…

日記:噛み合わない歯車の回転について(百合と「リズと青い鳥」に関するメモ)

1.注意事項 この記事は、全面的に映画「リズと青い鳥」のネタバレを含みます。 また2018年アニメ化予定の漫画「やがて君になる」の設定についてもがっつり語っていますが、これについては未読の方にも配慮しております。 2004年の映画「花とアリス」、2004…

日記:「グランド・ブダペスト・ホテル」

たくさんの人がさまざまな感想を書いているだろうから、映画に詳しくもない自分が改めて語る必要はない気もするのですが、しかしやっぱり感動したものについてはその感動を書き記したいものです。 もし映画を知らない人がいて、「映画とは何か。映画のどこが…

日記:「あいにくの雨で」

この作品で提示される謎はずばり「雪の密室」 現場に残っているのは被害者だけで、被害者は他殺体として発見される。たった一筋の足跡が幻想的に、視覚的に謎をはっきりと提示するから、雪密室の作品はきれいだ。しかしこの作品は雪の密室を扱うくせに、「あ…

日記:「Yの悲劇」

エラリー・クイーン最大の傑作が何か、とミステリファンに問うたら、きっと意見が分かれるでしょう。国名シリーズのどれか? 悲劇四部作? ライツヴィルもの? しかし、エラリー・クイーンが最も傑作を生みだした年というのなら、間違いなく1932年です。この…

日記:「Xの悲劇」

国名シリーズを執筆するかたわら、「バーナビー・ロス」という新たな筆名を用いてエラリー・クイーンが出版した悲劇四部作の一作目。 そもそもエラリー・クイーンが二人組の覆面作家だったのをいいことに、一方がバーナビー・ロス役、一方がエラリー・クイー…

日記:「エジプト十字架の秘密」

な、長かった。 初期エラリー・クイーンの傑作群、国名シリーズの5作目です。私はまだ「フランス白粉」とこれしか読んでいないので2番目に読んだことになります。 日記:「フランス白粉の秘密」 - しゆろぐ 国名シリーズの中では人気の作品だったけど、いか…

日記:「玻璃の天」「鷺と雪」

昭和十年前後の令嬢と日常に潜むミステリを描いた短編集の第二巻と最終巻の感想です。 以前感想を書いた「街の灯」の続編ですね。 日記:「街の灯」 - しゆろぐ この作品における「日常の謎」は日常を描くためにあるのだな、というのが最後まで読んだ感想で…

日記:「メルカトルと美袋のための殺人」

以前、とりあげた「メルカトルかく語りき」に登場する銘探偵メルカトル鮎とワトスン役の美袋にまつわる短編集です。 日記:「メルカトルかく語りき」「貴族探偵」(ネタバレなし) - しゆろぐ 「メルカトルかく語りき」より以前に発表された作品だが、メルカト…

日記:「友達以上探偵未満」

勝てばホームズ。負ければワトソン。 こんな文章の帯に惹かれていつか読もう、と思っていたのですが、気が付けば手元にありました。麻耶雄嵩の新作。二人の女子高生探偵による推理ショー。松尾芭蕉の俳句に見立てた殺人劇。17年前に亡くなったという、お堀の…

日記:「街の灯」

「何によらず、物事というのは汽車の窓から眺める風景のように、我々の前を過ぎて行く。その中から、≪おや、あれは何だろう≫≪どうして。あんなことになるのだろう≫という疑問を見つけるのは、実は、想像以上に難しいことなのだよ」(p.208) 「街の灯」は昭和…

日記:「太宰治の辞書」

この小説は、北村薫のデビュー作である日常の謎を扱ったミステリ「円紫さんと私」シリーズの17年ぶり(になるんだろうか)の新作である。と、私が大仰に語るのはよくない。何故なら私は「円紫さんと私」シリーズを読み通していないのだ。シリーズを一切読ま…

日記:「螺旋階段のアリス」

この作品がテーマにするのは「日常の謎」。 サラリーマンをやめて私立探偵になった仁木順平と、彼のもとを訪れて助手として働くことにした探偵志望の市村安梨沙。この設定だけでも惹かれるものがあります。 二人の事務所に舞い込んでくる謎は、仁木が憧れて…

日記:「貴族探偵対女探偵」

前回とりあげた貴族探偵の続編。 日記:「メルカトルかく語りき」「貴族探偵」(ネタバレなし) - しゆろぐ タイトルに「対」と書いてあることからもわかる通り、すべての短編において二つの推理が披露される。当然、真実は片方なので、一度提示された推理がひ…

日記:「フランス白粉の秘密」

フランス白粉の秘密はミステリ好きなら知らぬ人のいないだろうエラリー・クイーンの二作目で、私にとってはこれが初めてクイーンの作品に触れる機会でした。ミステリ好きじゃないので仕方ないですね。 以前、麻耶雄嵩についてブログで書きました。 日記:「…

日記:過去に読んだミステリまとめ

最近、読む時間はないのだが、ミステリに心を惹かれている。 あまりミステリに詳しくない。が、実際のところどの程度ミステリに詳しくないかはわからないので、読んだことのあるミステリを書き連ねておこうと思う。すなわち、書き連ねられる程度にしかミステ…

日記:「ボトルネック」

だいぶ昔に書いた記事が放置されていた。ちょうど『真実の10メートル手前』を読んだところなので、加筆してアップロードしておく。 ダンケルクを見に行った日の朝、電車でボトルネックを読んでいた。 米澤穂信の書く青春小説だ。SFでもあるし、ミステリ的で…

日記:「真実の10メートル手前」

米澤穂信の短編集『真実の10メートル手前』が文庫化していたので読んでみた。 簡潔にまとめれば、よいミステリであり、よい社会派であり、よい連作短編集であり、そして何よりよいキャラクター小説だった。 米澤穂信の初期の長編『さよなら妖精』に登場する…

日記:「Kanon」

Kanonをやった。ヒロインが5人いて、各キャラクターと仲良くなる(?)とそのキャラクターの話を読めるという、いわゆるギャルゲー形式のゲーム。キャラクターの魅力ももちろん重視されているけど、泣かせるシナリオが持ち味で、当時は「泣きゲー」なんて言っ…

日記:「劇場版 響け!ユーフォニアム」「映画けいおん!」

ユーフォニアム1期の総集編映画、けいおんの劇場版を見た。 ひとつの記事にまとめた理由としては、京アニだし、ユーフォニアムの感想を書きあぐねていたからごまかすため。 自分が原作至上主義者であることを忘れて、総集編映画を見たけど、やっぱり放送版を…

日記:「花とアリス殺人事件」

岩井俊二の傑作「花とアリス」の前日譚。 花とアリスの感想はこちら 日記:「花とアリス」 - しゆろぐ 当時はあまり作品世界に浸れなかったけど、折にふれてこの作品について思い出すことがあり、そのたびに花とアリスが掬い取っている情景・イメージの強さ…

日記:「ジョゼと虎と魚たち」

邦画が見たくなったので、第二弾。 恋愛ものです。 あらすじ 早朝に乳母車を押している老婆がいるらしい。薬物の取引かもしれない。バイト先でそんな噂話を耳にしていた大学四年生の男は、まさに乳母車を押していた老婆と、その乳母車のなかにいた、足の不自…

日記:「海街diary」

邦画が見たくなってきたので。 ちょうど今、是枝監督の「三度目の殺人」が上映している。それを見に行くかはわからないけど、是枝監督の作品を見ようと思った。そんな経緯。 あらすじ あらすじを語るのもあんまり意味がないタイプのお話。三姉妹が鎌倉で暮ら…

日記:「ゴーン・ガール」

無関係な話だけど、「この映画(ゴーン・ガール)の感想は男女で分かれるかもしれない」 みたいな意見を見るたびに、すべてがつまらない男と女の二元論に人間が回収されていく、みたいな気持ちになりませんか。俺はなります。まぁこの映画はそういう映画なのか…

日記:「メルカトルかく語りき」「貴族探偵」(ネタバレなし)

ひょんなきっかけから麻耶雄嵩作品を読んでいた。メルカトルかく語りきが、初めての麻耶雄嵩作品で、次に貴族探偵を読んだ。 メルカトルかく語りき (講談社文庫) 作者: 麻耶雄嵩 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2014/07/11 メディア: Kindle版 この商品を…

日記:「マイ・インターン」

冒頭のベンの語りになんとなく共感する。 恵まれているはずなのに、欠けているような、足りない気持ちになることがある。 もっとも俺はベンのように優秀で気が利いて「行き届いた」人物ではないけど。 当初、「若手社長のもとにシニアインターンがくる」みた…