ミステリ

日記:上半期に読んだミステリの感想

3月~5月にかけてミステリ小説をちょっと読んでいたが、途中で感想を書く作業が追い付かなくなっていったので、まとめて雑に感想を書いてみる。 ネタバレはないつもり。 ちなみに今はかなりミステリに飽き気味です。ただ「エラリー・クイーンの冒険」の新訳…

日記:「体育館の殺人」

体育館の殺人をかいつまんで説明するなら、「わかりやすく、スリリングで、何より由緒正しき本格推理小説」みたいな感じになります。 だから、「読んでてつらくなくて本格ミステリの面白みがわかる作品ある?」みたいなことを聞かれたら、間違いなく「体育館…

日記:「あいにくの雨で」

この作品で提示される謎はずばり「雪の密室」 現場に残っているのは被害者だけで、被害者は他殺体として発見される。たった一筋の足跡が幻想的に、視覚的に謎をはっきりと提示するから、雪密室の作品はきれいだ。しかしこの作品は雪の密室を扱うくせに、「あ…

日記:「Yの悲劇」

エラリー・クイーン最大の傑作が何か、とミステリファンに問うたら、きっと意見が分かれるでしょう。国名シリーズのどれか? 悲劇四部作? ライツヴィルもの? しかし、エラリー・クイーンが最も傑作を生みだした年というのなら、間違いなく1932年です。この…

日記:「Xの悲劇」

国名シリーズを執筆するかたわら、「バーナビー・ロス」という新たな筆名を用いてエラリー・クイーンが出版した悲劇四部作の一作目。 そもそもエラリー・クイーンが二人組の覆面作家だったのをいいことに、一方がバーナビー・ロス役、一方がエラリー・クイー…

日記:「エジプト十字架の秘密」

な、長かった。 初期エラリー・クイーンの傑作群、国名シリーズの5作目です。私はまだ「フランス白粉」とこれしか読んでいないので2番目に読んだことになります。 日記:「フランス白粉の秘密」 - しゆろぐ 国名シリーズの中では人気の作品だったけど、いか…

日記:「玻璃の天」「鷺と雪」

昭和十年前後の令嬢と日常に潜むミステリを描いた短編集の第二巻と最終巻の感想です。 以前感想を書いた「街の灯」の続編ですね。 日記:「街の灯」 - しゆろぐ この作品における「日常の謎」は日常を描くためにあるのだな、というのが最後まで読んだ感想で…

日記:「六の宮の姫君」

『太宰治の辞書』の解説で米澤穂信が語っていた内容によると、彼はこの作品に影響を受けてミステリ作家になることを決めたらしい。どういうジャンルで小説か迷っていたとき、この作品を読んでミステリが描けるものの広さというものを感じたとかなんとか。 日…

日記:「ビブリア古書堂の事件手帳」1,2

実は(?)、売れているものについて否定的なことを言いがちな人間です。 そんなわけでなんとなく人間と話していたら、読んでもいないビブリア古書堂の事件手帳シリーズについて否定的なことを言ってしまった。これはいけないと思い、反省の意味も込めて読んで…

日記:「メルカトルと美袋のための殺人」

以前、とりあげた「メルカトルかく語りき」に登場する銘探偵メルカトル鮎とワトスン役の美袋にまつわる短編集です。 日記:「メルカトルかく語りき」「貴族探偵」(ネタバレなし) - しゆろぐ 「メルカトルかく語りき」より以前に発表された作品だが、メルカト…

日記:「友達以上探偵未満」

勝てばホームズ。負ければワトソン。 こんな文章の帯に惹かれていつか読もう、と思っていたのですが、気が付けば手元にありました。麻耶雄嵩の新作。二人の女子高生探偵による推理ショー。松尾芭蕉の俳句に見立てた殺人劇。17年前に亡くなったという、お堀の…

日記:「街の灯」

「何によらず、物事というのは汽車の窓から眺める風景のように、我々の前を過ぎて行く。その中から、≪おや、あれは何だろう≫≪どうして。あんなことになるのだろう≫という疑問を見つけるのは、実は、想像以上に難しいことなのだよ」(p.208) 「街の灯」は昭和…

日記:「太宰治の辞書」

この小説は、北村薫のデビュー作である日常の謎を扱ったミステリ「円紫さんと私」シリーズの17年ぶり(になるんだろうか)の新作である。と、私が大仰に語るのはよくない。何故なら私は「円紫さんと私」シリーズを読み通していないのだ。シリーズを一切読ま…

日記:「螺旋階段のアリス」

この作品がテーマにするのは「日常の謎」。 サラリーマンをやめて私立探偵になった仁木順平と、彼のもとを訪れて助手として働くことにした探偵志望の市村安梨沙。この設定だけでも惹かれるものがあります。 二人の事務所に舞い込んでくる謎は、仁木が憧れて…

日記:「貴族探偵対女探偵」

前回とりあげた貴族探偵の続編。 日記:「メルカトルかく語りき」「貴族探偵」(ネタバレなし) - しゆろぐ タイトルに「対」と書いてあることからもわかる通り、すべての短編において二つの推理が披露される。当然、真実は片方なので、一度提示された推理がひ…

日記:「フランス白粉の秘密」

フランス白粉の秘密はミステリ好きなら知らぬ人のいないだろうエラリー・クイーンの二作目で、私にとってはこれが初めてクイーンの作品に触れる機会でした。ミステリ好きじゃないので仕方ないですね。 以前、麻耶雄嵩についてブログで書きました。 日記:「…

日記:過去に読んだミステリまとめ

最近、読む時間はないのだが、ミステリに心を惹かれている。 あまりミステリに詳しくない。が、実際のところどの程度ミステリに詳しくないかはわからないので、読んだことのあるミステリを書き連ねておこうと思う。すなわち、書き連ねられる程度にしかミステ…

日記:「ボトルネック」

だいぶ昔に書いた記事が放置されていた。ちょうど『真実の10メートル手前』を読んだところなので、加筆してアップロードしておく。 ダンケルクを見に行った日の朝、電車でボトルネックを読んでいた。 米澤穂信の書く青春小説だ。SFでもあるし、ミステリ的で…

日記:「真実の10メートル手前」

米澤穂信の短編集『真実の10メートル手前』が文庫化していたので読んでみた。 簡潔にまとめれば、よいミステリであり、よい社会派であり、よい連作短編集であり、そして何よりよいキャラクター小説だった。 米澤穂信の初期の長編『さよなら妖精』に登場する…