小説:理想の旅

私にとって理想の旅というのは、きっと旅未満の何かだ。 通学中の電車で、学校に行きたくないなと思って、いつも降りる駅を乗り過ごす。しばらく電車の窓越しの風景を眺めて、よく知らない駅に「名前がいいな」というそんなきっかけで降り立つ。定期が使えな…

目次

記事をジャンル別に一覧にしました。

メモ:決意と不安定さと飛び石と (アニメやがて君になる6話によせて)

飛び石とは、石を飛び飛びに並べてつくった簡単な橋のようなものを指す。 (画像はフリー素材です) 庭園の道も飛び石と呼ぶことがあるが、ここで注目するのは川を渡るための橋としての飛び石である。かなり主観的な話だが、川を横切る飛び石を渡ったり、そこ…

メモ:「借りてきたX」構文?(Vtuberを例に)

借りてきた猫は本来、「その日、太郎は借りてきた猫のようだった」のように、特定の人物が普段とは異なった形で非常におとなしくなっている状態を「借りてきた猫」にたとえて評する表現となっている。 しかしながら、「借りてきたX」のX部分に猫以外の生物を…

日記:アニメ「やがて君になる」3話

見ました(遅い)。 3話は原作でいう4話5話の内容ですが、原作5話の冒頭をOP前に持ってきたり、原作4話のラストをエンディングに持ってきたりで、「アニメ3話」としての再構成が丁寧ですね。 日記:アニメ「やがて君になる」1話 - しゆろぐ 日記:アニメ「やが…

メモ:特別に対する距離感 (「やがて君になる」槙聖司についての覚え書き)

注意:「やがて君になる」4巻までのネタバレあり 主人公小糸侑と、アニメ4話でちょうど出番のくる槙聖司くんについての、簡単な覚え書きです。特別がわからない主人公・小糸侑と同じ位置にいるようで少し違う槙聖司について、彼にとっての「特別」をすこしま…

日記:「隻眼の少女」

しばらく前からずーっと読んでいたけど、1部が終わって2部に入ったあたりからは一気に読んだ。 舞台は古式ゆかしき謎の一族がでてくる謎の屋敷。探偵役は母親から探偵業を受け継いだ隻眼の少女、御陵みかげ。初めて事件に関わることとなるデビュー戦。 ワト…

日記:アニメ「やがて君になる」2話

見ました。 各話感想リスト 日記:アニメ「やがて君になる」1話 - しゆろぐ 日記:アニメ「やがて君になる」2話 - しゆろぐ 佐伯沙弥香からの「ずるい」に始まり、小糸侑の刺すような「ずるい」が続き、再び小糸侑の調子を狂わされたような「ずるい」で終わ…

日記:「南極料理人」

言い知れぬ幸福感に包み込まれる映画でした。 中盤、季節が冬になったあたりで次々と発狂していく隊員の様子にげらげら笑ったりもしたけど、基本的には、食事を手掛かりにしてどこまでも日常を描いていく作品だったと思う。 主人公の西村は南極観測隊員、調…

日記:「ルポルタージュ1巻」

恋愛をするものがマイノリティとなり、現代的な意味での交際を”飛ばした”、純粋なパートナーシップとしての「飛ばし結婚」が一般的になった社会が舞台。その象徴である「非・恋愛コミューン」をテロリストが襲撃、多数の被害者が出る。 青枝聖は記者として、…

日記:アニメ「やがて君になる」1話

見ましたか? 俺は見ました。 あなたも見ましょう。 あらすじとかは書かずに、原作との差異やアニメを見て思ったことについてざっと書いていきます。 各話感想リスト 日記:アニメ「やがて君になる」1話 - しゆろぐ 日記:アニメ「やがて君になる」2話 - し…

日記:「図書館の殺人」

平成のエラリー・クイーン青崎有吾のデビュー作「体育館の殺人」から連なる裏染天馬シリーズ4作目の感想です。 「体育館の殺人」は「今ミステリが読みたいならこれを読め」と言っても良いほど、エンタメ・ミステリとしての完成度がすこぶる高い作品なのです…

日記:錠剤

昔から嚥下が苦手だった。具体的には、中学生くらいまで錠剤が飲めなかった。 錠剤の代わりに粉薬を処方してもらったり、砕いて飲んだりした。 ものによるが、口の中に錠剤をしばらくとどめておくと、苦味が出てくることがある。砕いた錠剤は、当然そういう…

日記:何かを盛り上げるとかの話

日々いろんな人がいろんな発信をして、いろんなものを盛り上げようとしている。 対象は伝統の継承であったり、地方活性化であったり、福祉であったり、何らかのコンテンツであったり、イベントであったり、交流であったり、商売であったり、さまざま。 そう…

日記:感想を書くこと

人の感想を読むことが好きだし、自分で感想を書くのもそこそこ好きだが、書いていると定期的に飽きる。 何故感想を書くかといえば、自分も人の感想を読むのが好きだから、という面が強い。しかしながら、自分で感想を書いていると、「自分の感想よりわかりや…

メモ:個人的に好きな月ノ美兎さんの発言

普段こういうことについてブログには書かないのですが、Vtuber*1の月ノ美兎さんの発言で個人的に興味深いなぁと思える発言があったので、部分的に書き起こしとメモを残しておきます。 どの動画で話していたかという、備忘録みたいな側面が強いです。 書き起…

日記:近況対策

時間を置いてから人に会うと、「最近どう?」と近況報告を求められることが多い。 これにこたえるのが難しい。 私の場合、面白い漫画を読んだ、面白い小説を読んだ、くらいしかない。 尋ねる側は悪くない。プライベートに特筆すべきイベントがない私がいけな…

日記:上半期に読んだミステリの感想

3月~5月にかけてミステリ小説をちょっと読んでいたが、途中で感想を書く作業が追い付かなくなっていったので、まとめて雑に感想を書いてみる。 ネタバレはないつもり。 ちなみに今はかなりミステリに飽き気味です。ただ「エラリー・クイーンの冒険」の新訳…

日記:「コードネーム U.N.C.L.E.」

去年から、ちょいちょいスパイ映画を見ている(そんなに見ていない)けど、この作品は結構あたりだった。 日記:裏切りのサーカス - しゆろぐ 日記:「007カジノロワイヤル」 - しゆろぐ 1960年代に放送された「0011ナポレオン・ソロ」という作品をリメイクし…

日記:漫画「月曜日の友達」を読んだので短歌を詠みました

漫画「月曜日の友達」を読みました。 いつもなら感想を書くところですが、感想を書くことにも少しずつ閉塞感を感じるようになってきたので短歌を詠みました。 この作品にはamazarashiさんによる『月曜日』という主題歌がありますが、そっちは聞く前につくり…

日記:「WATARIDORI」「ディープ・ブルー」「アトランティス」

しばらく忙しい期間が続いたので、寝しなに自然系ドキュメンタリー映画を見ていた。 WATARIDORIは鳥の渡りの様子を映像に収めた作品。 フランスの作品。邦題はちょっとどうなのかと思う。 多種多様な鳥の旅が楽しめる。あんまり飛んでいる姿を見ないペリカン…

日記:「万引き家族」

この作品を語る上で、最初に書いておかなくてはならないことが、この作品は家族の絆を全面的に肯定する作品ではない、ということです。 「盗んだのは、絆でした」というキャッチコピーなんてもってのほかだと思います。製作陣がつけたのかもしれませんが、難…

日記:「歩いても歩いても」

パルム・ドール受賞で話題沸騰の是枝監督予習編としてみました。 過去にみた是枝監督の作品としては、海街diaryがあります。 日記:「海街diary」 - しゆろぐ 簡潔に言うと、里帰りや親戚・もしくは家族という共同体の嫌なところ、きついところみたいなもの…

日記:「ムーンライズ・キングダム」

以前日記に書いたグランド・ブダペスト・ホテルと同じ監督が描く、少年少女の逃避行もの。 日記:「グランド・ブダペスト・ホテル」 - しゆろぐ グランド・ブダペスト・ホテルの感想でも書いた通り、飛び出す絵本のような独特な映像が特徴的。そういう映像を…

日記:「体育館の殺人」

体育館の殺人をかいつまんで説明するなら、「わかりやすく、スリリングで、何より由緒正しき本格推理小説」みたいな感じになります。 だから、「読んでてつらくなくて本格ミステリの面白みがわかる作品ある?」みたいなことを聞かれたら、間違いなく「体育館…

日記:噛み合わない歯車の回転について(百合と「リズと青い鳥」に関するメモ)

1.注意事項 この記事は、全面的に映画「リズと青い鳥」のネタバレを含みます。 また2018年アニメ化予定の漫画「やがて君になる」の設定についてもがっつり語っていますが、これについては未読の方にも配慮しております。 2004年の映画「花とアリス」、2004…

日記:「グランド・ブダペスト・ホテル」

たくさんの人がさまざまな感想を書いているだろうから、映画に詳しくもない自分が改めて語る必要はない気もするのですが、しかしやっぱり感動したものについてはその感動を書き記したいものです。 もし映画を知らない人がいて、「映画とは何か。映画のどこが…

日記:「あいにくの雨で」

この作品で提示される謎はずばり「雪の密室」 現場に残っているのは被害者だけで、被害者は他殺体として発見される。たった一筋の足跡が幻想的に、視覚的に謎をはっきりと提示するから、雪密室の作品はきれいだ。しかしこの作品は雪の密室を扱うくせに、「あ…

日記:「Yの悲劇」

エラリー・クイーン最大の傑作が何か、とミステリファンに問うたら、きっと意見が分かれるでしょう。国名シリーズのどれか? 悲劇四部作? ライツヴィルもの? しかし、エラリー・クイーンが最も傑作を生みだした年というのなら、間違いなく1932年です。この…

日記:「Xの悲劇」

国名シリーズを執筆するかたわら、「バーナビー・ロス」という新たな筆名を用いてエラリー・クイーンが出版した悲劇四部作の一作目。 そもそもエラリー・クイーンが二人組の覆面作家だったのをいいことに、一方がバーナビー・ロス役、一方がエラリー・クイー…