日記:苦手なタイプの物語の「トンネル」

下の記事がすこし話題になっていた。

物語の「トンネル」を通りたくない人は意外と多いのかもしれない - ジゴワットレポート

詳細は本文を読んでほしいが、ここでいう「トンネル」というのは物語における「胃が痛い展開」とか窮地とかを指している。「トンネル」があるからこそ、そこを抜けたときにカタルシスがあったり、先の展開が読めない楽しさがあったりするけれど、一方で、そういう物語の「トンネル」が苦手な人もいるんだなーといった内容になっている。

カタルシスという言葉は、こういう「トンネル」の存在を前提にするもので、多くの物語に「トンネル」は付き物だと思う。にしても、「トンネル」という表現はわかりやすくていい。

上の記事を読んで、自分について考えてみると、好きなタイプの「トンネル」と苦手なタイプ「トンネル」があるなぁとなんとなく思った。

例えば以前、北村薫の「スキップ」を冒頭で読めなくなってしまったのだが、これは私が苦手なタイプのトンネルの話なのだと思う。

 

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メモ:部屋と立ち位置とか距離とかの話 (ひだまりスケッチ×365)

ひだまりスケッチというアニメの2期、ひだまりスケッチ×365*1*2を見ていたんですが、登場人物の一人である沙英さんの部屋の描写がなんとなく気に入ってるので、それについて書こうかと思った。(ので、書く)

念のため書いておくと、ひだまりスケッチは、主にひだまり荘に住む4人の日々が描かれる日常系アニメで、沙英はその住人の一人にあたる。ひだまりスケッチ×365の時点では、高校2年生の沙英とヒロ、高校1年生のゆのと宮子の4人。ひだまり荘はやまぶき高校という学校のすぐ近くにあるアパートで、代々やまぶき高校美術科の生徒が暮らしているという設定。

1期は遥か昔に見たので、もうあんまり覚えていない。3期はまだ見ていない。そんな感じでにわかの視点です……。

*1:ひだまりスケッチ×365』2008,原作:蒼樹うめ,監督:新房昭之,制作:ひだまり荘管理組合,アニメーション制作:シャフト

*2:本文中で引用している画像はすべて『ひだまりスケッチ×365』からの引用

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日記:自分でつくった短歌を解析する

1.はじめに

短歌を作り始めてそろそろ1年になるので短歌を形態素解析して、頻出する単語*1とかを計量しました。

対象は2017年12月22日~2018年12月22日までにツイッターでつぶやいた200首です。

解析と仰々しいことを書いていますが、自然言語処理・統計系のほにゃほにゃに詳しくないので、本当に数を出しただけです。

(特定の表現の多寡を考えるためには他のデータと比較することが大切ですが、特にそういうこともしていません)

 

*1:形態素解析における「形態素」をこの記事では「単語もしくは語」と表現しています。

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日記:「やがて君になる 佐伯沙弥香について」

 読んだ。

「佐伯沙弥香について」と題するスピンオフにふさわしく、キャラクター形成の細部が丁寧な作品だった。

感想:佐伯沙弥香は大学選びでも人間関係を理由にして遠くに行く選択をしてほしい。たぶんそうはならないけど……。

ネタバレあり。

 

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日記:お茶

スーパーや自動販売機でお茶を買うとき、毎度迷っているような気がするので、自分の中でのペットボトル茶のランク付けを明確にしてみた。

 

1位 爽健美茶

2位 十六茶

3位 おーいお茶

4位 綾鷹

5位 生茶

 

個人的に粉っぽい?感じのお茶が苦手なんだろうと思う。

いちばん好きなのはジャスミンティーです。

小説:理想の旅

私にとって理想の旅というのは、きっと旅未満の何かだ。

通学中の電車で、学校に行きたくないなと思って、いつも降りる駅を乗り過ごす。しばらく電車の窓越しの風景を眺めて、よく知らない駅に「名前がいいな」というそんなきっかけで降り立つ。定期が使えないからちょっと面倒かもしれないけど、それでいい。

(電車通学だった時期なんて一度もない。)

降り立った駅からは、なんと海が見える。白い看板に、真っ黒いペンキに古ぼけた字で、さっきいいなとおもった名前がひらがなで書いてある。看板はひとつしかない。ちいさなちいさな駅だ。駅員さんがいるのは小屋みたいな立方体の駅舎で、待合室も兼ねている。椅子にはおばあちゃんの家で見かけるような手作りの敷物が敷いてあって、なんとなくほほえましい気持ちになる。「××駅来場記念ノート」みたいなよくわからない名前のノートが置いてあって、なかには子供の落書きや、出張に来たという大人の他愛もない報告が載っている。

ノートのページをめくっていくと、「学校をさぼって知らないここに来ました。どこか遠くに行きたくて」という記名をしていない誰かの報告が書いてある。

これは私だ、と思う。もちろん違う人で、でも誰かがまったく同じように同じことをしていて、そういうつながりにあたたかさを感じる。2年前の冬。字が下手な人が、走り書きをどうにかそれっぽく見せて、取り繕っているようなそんな字で。

そんな旅がしたい。